2025年10月1日(水)に、社会福祉法人Lさまにおいて、
「社内ハラスメント相談窓口の担当者が話を聞くということ」をテーマとした研修を
オンラインで実施しました。
対象は、各拠点の施設長や課長など、
窓口担当を兼務されている管理職10名でした。
管理職が窓口を兼務することの構造的課題
一般的に、社内相談窓口は、施設長や課長が相談窓口担当を兼務するケースも見受けられます。
しかし、ここには構造的な課題が潜んでいます。
日常業務で「問題解決者」として部下を指導する立場にある管理職が、
相談窓口でも同じ姿勢で臨むと、相談者の話を十分に聞き取れないリスクが生じてしまいます。
相談窓口の本来の役割は、判断や解決ではなく「傾聴と事実把握」です。
しかし上司としての役割が前面に出ると、
話の途中で解決策を提示したり、相談者の認識を修正しようとしたりして、
肝心の事実関係を見逃してしまいます。
今回の研修では、この仮説を起点に、窓口担当者としての役割への切り替えの重要性を強調しました。
研修で確認した3つのアプローチ
1. 自己の傾聴癖の可視化
ブロッキングリストを用いて、自身の聞き方の癖をチェックしていただきました。
「話を遮る」「すぐ助言する」といった無意識の行動パターンを認識することが、
窓口対応の質を高める第一歩となります。
2. 相談窓口固有の役割理解
窓口担当者の役割は問題解決ではなく、ハラスメントの有無を判断するための事実把握です。
この認識があれば、拙速な結論を避け、相談者が安心して話せる環境を作ることができます。
3. 相談者の意向確認プロセス
相談内容の公表範囲、調査の実施、処罰の要否など、すべてにおいて相談者の意向確認が必要です。この手続きを怠ると、相談者の二次被害や組織への不信を招きかねません。
実効性ある窓口運営へ
ハラスメント防止措置は法的義務ですが、形だけの窓口では機能しません。
担当者にも「話を聞くうえでの作法」の理解は不可欠です。
当事務所では、社会保険労務士としての知識をベースに、
産業カウンセラーやコーチング等を学ぶことで得た知識やスキルを加味し、
相談窓口の実務を支援したり、外部窓口の受託をしています。